俺はバースに母上に2年以内に結果を出せと言われていると手紙を送っておいた。
そんな中、恐れていたことが起こった。
王太子の死去―――。
まさかうちのフィルには継承権はあるまい。
と思っていたのに、王宮から登城するように手紙が来た。
「なんなの?今更よね?もう10年位前に1回フィルと面会しているじゃない」
その時に継承権を言われたならわかるけど、今更……。
当時は王太子の継承で政治揉めたくなかっただろうけどさ。
それにしても納得いかない!
継承権なら他にもいるでしょうに。フィルじゃなくてもいいでしょう。
王宮、相変わらずきらびやかだ。陛下、年取ったな。白髪も増えてダンディーな色気が出ていますな。
それはそうと、うちのフィルはあげません!
「よく来てくれた。ハノーバー家の者達。面をあげよ」
「陛下におかれましては益々ご健勝のようで。この度の王太子様がお隠れになったこと、臣下としても痛み入る次第でございます」
「うむ。ついては、そこにおるフィルと申す若者のことで」
「フィルにございますか?」
クソ狸が今回の主目的を口にしやがった。
「フィルは優秀に我が領地で活躍をしております。我が家になくてはならない存在ですね」
流石、母上切り込んだ。
「ふむ。優秀なのか……」
おい、聞いてるのか?『我が家になくてはならない存在』って母上は言ったんだぞ?都合のいいところだけ、トリミングしてるのか?
「はい。領地経営もしっかりと学び次期伯爵となる息子の右腕として成長しています」
「うーむ。儂はなぁ、フィルに王位継承権を与えようと思ったのだが?」
「王ともあろう方が、どこの子ともしれない者に王位継承権を与えてはいけませんよ」
「そ、そうか……。では、この話はここだけで。この部屋にいる者、他で話すでない」
実質箝口令だな。フィルの身も危なくなるし?